腸内細菌が体重増加に影響?!

腸内細菌が体重増加に影響?!

太るのは食べ過ぎているというのが一般的ですが、それ以外にもあらゆる原因が考えられ、腸内細菌がここでも関係しています。

大腸には何兆個もの共生細菌が生息しており、これらを総称して腸内フローラと呼びます。腸内フローラは、生まれつき、食事、環境、ライフスタイルなど、さまざまな影響を受けて形成されるため、同じものは2つとありません。

腸内細菌は、空腹感、消化、ストレス、そしてメンタル面などと相互で影響を与え合うことが分かっており、とても重要なものです。

目次

  • 腸内細菌のエネルギー源は普段の食事
  • 肥満を防いでくれる細菌
  • 肥満と欧米型食生活、そして腸内細菌の関連
  • 細菌は脳の働きや食習慣と深く関連
  • 抗肥満菌を増やす食べもの

食べたものは腸内細菌に影響を与えます。バランスのとれた腸内フローラは健康的な体重を維持するのに役立ちますが、バランスが崩れた腸内フローラは、自分よりも多くのエネルギーを作り出し、体重を増やしてしまう可能性があります。

腸内細菌のエネルギー源は普段の食事

腸内細菌の多様性は、異なる細菌が異なる働きをするため不可欠であり、体重増加を防ぎます。

私たちの腸内フローラは複雑に関係し合っています。腸内フローラは健康を維持するために必要不可欠ですが、その役割を果たすには、善玉菌に栄養を与える必要があります。多様な生態系であれば、エネルギー代謝がスムーズに成されて体重管理も上手くいきますが、慢性的に生態系のバランスが崩れると健康に問題が生じます。これを「ディスバイオーシス」と呼びます。

ディスバイオーシスになると、日和見菌が多くなる一方で、善玉菌が減少することがあります。また、細菌の種類が少なくなることもあります(多様性の低下)。食べるものはこれらの要因に影響を与えるため、食事と体重増加は関係していると言えます。


リスのように、バクテリアは食べ物を消化しやすい大きさに分解

ここで、肥満の人の腸内フローラに関する研究をご紹介します。肥満とは、体重が増加し、血糖値、コレステロール、脂肪が上昇することを特徴とする代謝性疾患です。

科学者は腸内細菌には、私たちと同じように基本的な存在動機があり、食べものを必要としていると説明します。

細菌は食べ物を分解し、エネルギーに変えます。その過程で代謝物を残し、腸の粘膜を刺激して動かしたり、腸からその代謝物が血流に吸収されたりします。中には、排泄物として体外に排出されるものもあります。

善玉菌は、植物性食品に含まれる複合糖質を発酵して分解します。つまり、腸内は食物繊維の加工工場となり、短鎖脂肪酸(SCFA)、ビタミン類、その他の代謝産物が生成されます。

これらのSCFAは腸にとって重要なエネルギー源であると同時に、シグナル伝達分子でもあります。体内のさまざまな細胞間だけでなく、迷走神経(脳にメッセージを送る)にも、食事の摂取量と代謝の両方に影響を与えます。

酢酸と酪酸は短鎖脂肪酸で、腸の粘膜の細胞にある受容体と結合し、脂肪の蓄積を調節し、食欲をコントロールする働きがあります。また、これらの受容体は、食欲を調節する腸内ホルモンであるペプチドYYとGLP-1の分泌を誘導します。通常の濃度であれば食欲を抑える働きがありますが、少なすぎるとより間食したくなる可能性があります。

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そのメカニズムはまだ不明ですが、腸内フローラが腸内膜の活動や食欲の調節、さらには血糖値のコントロールに役立っていることは、科学者間で一致した意見です。同時に、多くの科学的研究により、腸内フローラの多様性の欠如は、太り過ぎや肥満の人に共通して見られることが分かっています。

肥満を防いでくれる細菌

腸内環境を強化し、健康的な代謝マーカーを維持することで、体重増加や肥満から私たちを守ってくれる善玉菌がいます。

アッカーマンシアムシニフィラは、善玉菌の一種であり、ヒトの腸内にも存在するムチン分解菌です。腸の内壁を覆う粘液を栄養源とし、腸のバリアがより多く生成されるように促します。これにより、バリアはより強く厚くなり、免疫反応や炎症の引き金となる不要な代謝物や毒素の体内への侵入を防ぐことができます。

この細菌は、痩せた人に多く、肥満の患者さんには少ないようです。研究によると、アッカーマンシアは、太り過ぎや肥満で問題となる糖や脂肪の代謝をコントロールする働きがあることが分かっています。

血液中に入るブドウ糖の量を管理することは重要です。健康的なレベルであれば、体はグルコースをエネルギーとして使うので、体重は増えません。しかし、ブドウ糖が多すぎると、インスリンは余分なものをすべて脂肪細胞に蓄えるよう細胞に指令します。

中性脂肪やコレステロール(脂肪やタンパク質などから成る)のような脂肪は、腸を通って体内に入ることができます。よく知られているように、太り過ぎはこれらの物質の血中濃度が高くなることと関連しています。細菌がこれにどのように影響するかはまだあまり明らかではありませんが、細菌の活動は血糖値や脂質の管理に役立つと考えられています。

あまり知られていませんが、クリステンセネラ・ミニットという細菌が、多くの痩せ型の人から検出されています。しかし、マウスの研究では、この細菌が体重増加を抑制することが示されています。特に健康的な腸内フローラをサポートすることから、肥満予防には有望です。

現在分かっていることは、バランスのとれた腸内細菌が健康的な体重と関連しているということです。それはおそらく、腸内環境を維持し、食欲ホルモンが正しく働くようにするためだと考えられます。そして腸内環境を良くする植物繊維を多く含むバランスのとれた食事は、体重増加を促す精製された糖分や脂肪をあまり含まないことも影響していると考えられます。

肥満と欧米型食生活、そして腸内細菌の関連

肥満と高脂肪や高糖分の食品は、腸内を健康に保つのにあまり適していない腸内フローラとも関係しています。

肥満の人には明確なパターンのディスバイオーシスが存在することが研究から分かっています。健康な人と比べて、太っている人はバクテロイデス門の豊富さが減少し、ファーミキューテス門が増加する傾向にあります。

このバクテロイデス門とファーミキューテス門の比率は、低レベルの炎症の増加と食べものからのエネルギー抽出の増大と関連しており、血糖値と脂肪レベルの上昇を招き、血管を傷つけ炎症を引き起こす可能性があります。これらのマーカーはいずれも体重過多や肥満と関連しています。

Red poppies under morning sun


健康を維持するためには、腸内フローラが必要

より多様な腸内フローラを持つ人は、通常、酪酸菌であるフィーカリバクティウム プラウスニッチーとアッカーマンシア・ムシニフィラをより多く持っていることが知られています。この2つは代謝をよくするために必要な細菌です。また、腸内膜が効果的なバリアとして機能し、不要な物質を体内に入れない働きもあります。

欧米型の食生活と肥満は、腸の粘膜の透過性を高めることと関連しています。腸はより長い時間働くことで、より多くのエネルギーを抽出することに忙しくなり、体が脂肪として蓄積するエネルギーが増えることになります。

また、リポポリサッカライド(LPS)をより多く体内に取り込む可能性もあります。この炎症性分子は、一部の腸内細菌の外殻に含まれており、肥満患者の血液サンプルからもLPSレベルの上昇が検出されます。

細菌は脳の働きや食習慣と深く関連

腸と脳の間には双方向の情報伝達経路があり、食行動に影響を与えることがあります。酢酸は、アッカーマンシアを含む多くの有益な腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸です。研究によると、腸内細菌の細菌が作り出す酢酸は、食欲を調節する脳の視床下部と呼ばれる特定の部位に移動することが分かっています。

また、有益な腸内細菌は、腸内のホルモン産生を刺激することができます。これらの物質はコミュニケーション分子として働き、脳を介して食物摂取に影響を与えることができます。興味深いことに、腸内フローラが生息する消化管全体の中で、大腸は味覚受容体が最も多く存在します。

しかし、腸内細菌が味覚受容体に影響を与え、そして食べたいものに影響を与えている可能性も指摘されています。つまり、あなたの食生活は、腸内細菌に影響を受けているかもしれないのです。

実際にDNAの研究により、ルッコラ、ダークチョコレート、コーヒーなどの苦味に対する嫌悪感が遺伝的に決定されている人がいることがすでに明らかになっています。多くの植物性食品には苦味物質が含まれているため、この忌避感が食生活の質を低下させ、甘いものを好むようになるという仮説が立てられています。

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ポリフェノールと健康効果の究極のガイドブック(英語)

苦味を評価する味覚受容体も腸内にあり、細菌の刺激に反応することがあります。このため、研究者は、細菌が食べものの好みと相互作用し、そうすることで体重増加に関与している可能性を示唆しています。

一方で、遺伝的体質を変えることはできなくても、健康的な体重と代謝を維持するのに役立つ有効な細菌を養うことで、腸内フローラの構成を改善することができるのです。

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抗肥満菌を増やす食べもの

腸内の善玉菌は、植物性の食べものや良質な脂肪を好み、これらを栄養源として腸内環境を整え、体を健康に保つことができます。

「健康的な食事」とは、野菜、果物、ナッツ類、そして穀物や豆類などを含む、植物性のまるごと食べられる食品は、バランスのとれた健康的な体を作るために、とにかく欠かせません。

これらの食べ物は、食物繊維が含まれるので便通がよくなるだけでなく、含まれる糖分は精製糖よりもエネルギー密度が低く、血糖値を急上昇させることがなく、ゆっくりと消化されます。また、多くの成分は体内で分解されませんが、腸内細菌のエサとして分解されます。

普段の食事は腸内フローラの多様性と健康に大きな影響を与えます。あらゆる腸内細菌がたくさんいることで生態系のバランスが保たれ、有益な活動がなされ、全身の健康が保たれるのです。逆に、高脂肪、高糖分の食事は、腸内細菌の多様性を低下させ、悪玉菌が繁殖するのを促します。

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色々な色の食べ物を食べよう:赤色フードのレシピ(英語)

腸内の善玉菌に栄養を与えるトップフードをリストアップしてみました。リストに挙げたものに限らず、あらゆる食品から毎日少なくとも30gの食物繊維を摂取する必要があります。また、毎週30種類以上の様々な色の植物性食品(赤、オレンジ、黄、緑、紫・青)を食べている人は、腸内フローラの多様性が高いという研究結果もあります。

穀類

野菜

果物

ライ麦

玉ねぎ

りんご

大麦

ビーツ

オーツ麦

ニンニク

クランベリー

小麦

エルサレム・アーティチョーク

ブラックベリー

豆類

マッシュルーム

柑橘類




長期的な体重増加は、腸内フローラの多様性の低さに関係していることが研究で明らかになっています。腸内フローラは食物繊維を十分に摂らないと悪化しますので、肥満にならないためには、健康な腸内細菌の繁殖を促すために、毎日の食事に果物や野菜、全粒粉を多く取り入れることが大切です。

そして、運動も忘れずに。食物繊維をたくさん摂り、飽和脂肪酸の摂取を控えたからといって、必ずしも健康になるとは限りません。体重増加や代謝性疾患から身を守るためには、運動も必要です。

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☝️免責事項☝️この記事は、情報提供のみを目的としています。また、専門的な医学的アドバイス、診断、治療の代わりとなるものではありません。

アトラスチーム アトラスチームの遺伝子検査開発者

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