動脈硬化や糖尿病からあなたを救う腸内細菌とは

動脈硬化や糖尿病からあなたを救う腸内細菌とは

炎症性腸疾患や代謝性疾患といった疾患に特定の傾向と出現パターンは腸内細菌と関わっているといわれています。自分の腸内細菌の特徴を知ることで、これらの疾病を予防することができるのです。

今回のコラムでは代謝性疾患(動脈硬化、二型糖尿病、肥満)と炎症系腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)に分けて、腸内細菌の傾向や特徴を説明します。

この記事では腸内細菌が心血管、消化器系の健康にどのように影響しているのか。腸内細菌が肥満、動脈硬化、二型糖尿病、クローン病及び潰瘍性大腸炎を予防できるのかを学んでいきます。

代謝性疾患

脂肪、タンパク質、炭水化物などの栄養素を分解することと、体の油脂、エネルギー、健康を維持するための化合物へ変換することを「代謝」といいます。有機化合物が体の組織や臓器に過剰に蓄積したり、逆に欠乏を引き起こしたりすると有機化合物の処理ができなくなり、正常な代謝ができない状態になります。昨今の医学研究では、動脈硬化症、肥満症、二型糖尿病は、代謝だけでなく腸内細菌も関連していることが示唆されています。

動脈硬化

「動脈硬化」は「サイレントキラー」とも呼ばれ、動脈にプラーク(血管のコブ)が蓄積する深刻な病気です。プラークができ、それが剥離することで血管を閉塞することが血管疾患の主な原因となっています。心臓発作を引き起こす可能性があります。2015年の研究によると、動脈硬化性心疾患は世界中で死亡率の主要な原因となっています。


動脈硬化症の患者の腸内細菌の特徴

動脈硬化症は、健康な人と比較して痩せている人の腸内に多い細菌や、酪酸と呼ばれる栄養素を生産する細菌の量が少ない傾向があります。一方、動脈硬化の患者は、卵黄や赤身肉や魚に含まれる腸内細菌の代謝産物であるトリメチルアミンの血中濃度が高く、健康な対象者よりも炎症性腸環境であることがわかっています。

二型糖尿病

「二型糖尿病」は、身体がインスリン抵抗性をつけてしまう病気です。この病気の患者さんは健康な血糖値を維持するための血液中のグルコースを集めるシステムが適切に機能しません。血糖値を維持するのはインスリンの働きです。体がインスリン抵抗性になると、細胞はグルコースを効率的に吸収できなくなり、肝臓はより多くのインスリンを分泌してそれを補おうとします。過剰なグルコース(高血糖)の循環は、血管、組織、神経、臓器を損傷させてしまいます。特に二型糖尿病の人々は、心臓病、脳卒中、腎臓病、神経および眼の損傷を含む合併症などの重大なリスクにさらされてしまいます。
二型糖尿病のような炎症性疾患の増加の原因の1つに、脂肪と糖分が多い西洋型の食事の人気の高まりがあります。こうした食事は腸内フローラに栄養を与える食物繊維が少なく、腸内フローラの健康促進機能に悪い影響を与えてしまいます。

二型糖尿病患者の腸内細菌の傾向

二型糖尿病患者の腸内細菌は、健康な人よりも酪酸生成菌が少ない傾向があります。酪酸は短鎖脂肪酸で、抗炎症作用があります。酪酸は免疫系機能をサポートして、 腸を覆っている細胞に最大90%のエネルギーを供給します。特に、二型糖尿病患者は酪酸を合成することで知られる腸内細菌が豊富でなかったことが明らかになりました。また、抗炎症作用を持つ腸内細菌、インスリン抵抗性と代謝状態から守ることで知られています。

肥満

「肥満」は、過剰な脂肪組織が健康問題を引き起こすまで蓄積した状態を指します。厚生労働省によると、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上が肥満と定義づけられており、 日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準は腹囲が男性で85CM以上、女性で90CM以上となっています。
遺伝は肥満のリスクファクターとなりますが、生活環境、社会生活などのライフスタイルも肥満になる可能性が高いかどうかを判断するうえで重要な予測要素です。これらには、高脂肪、高糖質、加工食の要素を含む西洋食が要因の一つとなっています。そして座りっぱなしの生活や、運動不足、恵まれない社会的背景も肥満の要因になりえます。

肥満の人の腸内細菌の傾向

腸内細菌の研究によると、肥満患者は腸内の微生物の多様性が全体的に少ないことが分かっており、西洋型の食事で繁殖する腸内細菌が多いことを示しています。また、代謝問題に関する腸内細菌と関連があるとわかっています。同じ種類の細菌が多すぎたり、逆に少なすぎたりする場合、または稀な日和見菌の存在が多くなっている場合は、腸内毒素症、炎症および病気の一因となる微生物生態系が負の変化を示しています。肥満は二型糖尿病と同様に、体重の減少、インスリン抵抗性および代謝障害からの保護に関わっている腸内細菌の低水準とも関連しています。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患グループの主たる疾患は、クローン病と潰瘍性大腸炎です。これらの疾患はどちらも消化管に悪影響を与える急性炎症が特徴です。炎症性疾患は、栄養素の吸収不良と内部の瘢痕、結腸直腸がん、血栓、原発性硬化症胆管炎、胆管に影響を与える重度の炎症など、いくつかの健康問題のリスクが高くなります。

遺伝素因は炎症性腸疾患を発症するリスクを高めますが、生活環境やライフスタイルによる影響が考えられています。研究によると腸内細菌の負の変化である腸内毒素症が、慢性炎症を引き起こす異常な免疫反応を引き起こす可能性があることを示しています。これが、遺伝によるリスクを持つ人の病気発症リスクを高めると考えられています。

クローン病

口から肛門までの消化管のどの部分もクローン病の炎症の影響を受ける可能性があります。病変は腸の内壁のところどころで発生して、その内壁のすべてを通して発生する可能性があります。この病気が最もよく見られるのは小腸のような栄養素の吸収を担っている器官です。ここがクローン病患者の弱点であり、炎症が起きる理由です。

下痢、血便、口内潰瘍、疲労、貧血、体重減少、食欲不振は、フレアと呼ばれる急性炎症の症状です。現在のところクローン病の治療法は確立しておらず、長期的に取り組む必要があります。

クローン病患者の腸内細菌の特徴

クローン病患者の腸内フローラは、腸内毒素症、菌の多様性の低下、病原性の特徴を持つ稀な細菌の増加の傾向が見られます。たとえば、腸内膜に付着する炎症誘発性細菌である特定の種類の大腸菌が健康な人よりも多い傾向があります。急性炎症を経験している患者の腸内フローラは、酪酸生産能力のある細菌のレベルが低下していていることが分かっています。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患です。潰瘍性大腸炎は、大腸(結腸)と直腸にのみ影響を与えます。直腸から炎症が始まり、結腸に広がっていきます。損傷は粘膜と呼ばれる腸の最も内層にのみ影響します。急性炎症には、直腸の痛みや出血、すぐに脱血する必要性、痛みや血液や膿による下痢などがあります。潰瘍性大腸炎の治療法は確立しておらず、長期的な視点で治療に取り組む必要があります。

潰瘍性大腸炎患者の腸内細菌の特徴

潰瘍性大腸炎患者の腸内フローラで腸内毒素症が発症しているとの研究結果があります。潰瘍性大腸炎患者には大腸菌、ヘリコバクター、サルモネラなどの病原菌が健康の人と比較して多いことが判明しています。これらの細菌は胃腸炎を含む感染症に関連しており、特定の感染症が潰瘍性大腸炎発症のリスクを高めています。

まとめ:

病気の予防には腸内細菌の傾向を知り、状態を改善する食事が大切

今回紹介した病気に関して気になる場合には、自分の腸内細菌の傾向を把握し、腸内フローラの構成が各疾患に関連するマーカーの特徴やパターンに近いかどうかを検査してはいかがでしょうか?

腸内フローラの構成を改善して、栄養素を取り入れやすくする食品の組み合わせもわかってきました。

アトラスバイオメッドの研究者のチームは、腸内環境の改善にはバクテリアに基づいて食品を選び、接種することが重要だと述べています。

自宅で手軽にできるアトラス腸内フローラ検査は、腸内フローラ構成の分析を通じて、病気発症リスクを可視化し、病気にかかる前に自分の健康の改善や意識向上に役立つツールです。


アトラスチーム アトラスチームの遺伝子検査開発者

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